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株式会社エニアグラムコーチング - ブログ

2015/10/16

【9つのタイプ】コーチングは楽しい

佐藤さんが退職してまもなく、上司から社内の階層別研修に参加するよう、指示がありました。プログラムを見ると、研修内容は「コーチング」「エニアグラム」「EC=エニアグラムコーチング」3つのテーマとなっています。研修は毎週1回、各テーマを各1日ずつ学ぶ計画です。高橋課長は、他部署の15人の課長と計3日間一緒に参加することとなっていました。

初日は「コーチング」についてです。「コーチング」はコミュニケーションの1つの方法であるようです。高橋課長は元来、人とのコミュニケーションが嫌いな方ではありません。どちらかと言うと好きな方であり、上司から話しかけられたり、飲みに誘われたりすることは嬉しいことです。逆に、上司から声がかからないことは、とても寂しいことです。その反面、部下との積極的なコミュニケーション、ましてや部下の面倒をみることはあまり得意としません。部下の相談に乗ったり、部下の面倒をみるくらいなら、その時間を自分の成果に結びつく時間にあてることの方がよほど有意義だと思ってしまいます。

 

最近職場では、コンピテンシー、成果主義が取り入れられるようになり、部下との面談の機会が増えました。今回の「コーチング」というテーマは、部下との面談時に用いるコミュニケーションを向上させることが狙いのようです。

 

さて、その第1日目となりました。

 

プログラムの最初は、「コーチング」が日本に入ってきた背景でした。研修講師の説明はおおよそ以下のようなものでした。

 

「日本にコーチングが輸入された背景には、旧来の日本企業のあり方であった年功序列、終身雇用の制度、上司・部下間の軍隊組織的な関係が壊れはじめたことにありました。2005年で500万人と言われる流動化する人材を目の前にして、旧来の鬼上司の指示命令的、一方通行型のコミュニケーション、特に現代の傷つきやすい若者は動かないことに気づき始めたのでした。

 

また、物が売れない時代に入ったことから、消費者に訊くというマーケティングの基本が確認されたこともあります。以前の消費者から訊く方法は、従来から行われているアンケート調査などでした。しかしそれでは競争には勝てなくなった、スピードが間に合わなくなったのです。

 

例えば、家電製品の街、秋葉原でもっとも上手に商品を売る人とは、お客様から他店の値段を訊く力のある販売スタッフです。値段は他店の価格に連動して毎日、場合によっては毎時、変化します。しかし、販売スタッフが街中の価格を調査する時間はとても確保出来るわけはありません。では誰が他店の値段を知っているのでしょうか?正確で最新の価格情報を得ているのはお店のスタッフではなくお客様です。お客様は1円でも安いものを求めて電気街を歩き、パンフレットを集め、さらに足で確かめながら買い物をしているからです。そこで販売スタッフはその商品の購入希望者に、他社商品の値段を訊いて価格を決めるのです。この方法が、正しく毎日の適正な値段決めができ、商品が在庫にならない、最も効率のよい方法です。このように、激しい競争のもと、提供者側が消費者に値段を訊く、ということが毎日、実際に行われているのです」

 

高橋課長はじっと聞いていると、なるほどと思わされることはあります。確かに、ちょっと大きな声でもだそうものなら、次の日から会社に来なくなるような傷つきやすい若者が増えています。また、最近の物の流れ、特に情報の流れに自分は追いついていないと感じる時があります。分らないことは、誰かに聞いたほうが早いのはその通りです。

 

「そんな時アメリカから、コミュニケーションスキルの1つの体系として輸入されてきたのが、コーチングでした。コーチングは、上司、部下間におけるコミュニケーションによるモチベーションの向上、能力の引き出しに使用されます。

 

コーチングは米国を中心とした一流企業の、特にエグゼクティブと呼ばれる経営者層に、従来のコンサルタントと入れ替わるように流行しました。現在ではIBM、保険会社のプルデンシャル、GEなどの外資系企業と東京ガスなどの企業でしっかりと活用されている例があります」

 

高橋課長は少し驚きました。先月会った外資系保険会社のセールスパーソンの態度が、昔、おつき合いで入った保険会社のおばちゃんとは全く違うアプローチだったことを思い出したからです。いっさい保険は売り込まれず、こちらの課題を訊いてくれ、一緒に考えてくれてとても安心した、そんな不思議な経験をしたからでした。

 

 

講師は、研修テキストの1部分を、隣の参加者と読み合わせするように指示を出しました。隣の席は1年後輩の赤木課長でした。そのテキストはコミュニケーションの悪い例として書かれたダイアログでした。高橋課長と赤木課長は、テキストにあるように上司、部下の二手に分かれて読み合わせを始めました。

 

上司: 「最近、調子はどうだい」

部下: 「はい、まあまあ順調です」

上司: 「順調か。相談したいこと、悩みごとは何かないのかね」

部下: 「いえ、別にありません」

上司: 「別にないって・・・本当にないの?」

部下: 「はい、まあ、これと言って・・・」

上司: 「これまで、何か相談したいと考えたことはなかったのかね?」

部下: 「いえ、まったくなくはないんですが・・・」

上司: 「何だ。あるんなら、なぜその時、言ってこなかったんだ」

部下: 「いえ、たいしたことではありませんので、なんとかなると思います」

上司: 「本当になんとかなるのか?」

部下: 「はい、大丈夫です」

上司: 「そうか、それじゃ、とにかく、がんばってくれ」

 

 

クラス内での読み合わせが終了した頃、講師は次のようにまた指示を出しました。

 

 

「これが従来型、一方通行型と呼ばれるコミュニケーションです。この例で悪い点はどこでしょうか?お隣の方と話し合ってください」

 

高橋課長はこう言いました。

 

「この例では、部下の話しを積極的に聴くというよりは、上司がまるで訊問でもしているかのようだ。部下は緊張していて、安心して話せる状態じゃないね」

 

赤木課長は

 

「ええ、確かにそうですね。話せと言って、叱られているようですね。でも、これって、自分も結構よくやっているような気がします」

 

高橋課長も、笑いながら思わずうなずいてしまいました。

 

次に講師は「どのようにコミュニケーションすることで、部下との面談は効果的になるでしょうか?」と質問しました。それについて赤木課長と話し合いましたが、あまり良いアイデアは出ませんでした。

 

講師は、コーチングを使った良いコミュニケーション例を読むように指示しました。また二人で上司、部下役になり、読みあわせをしました。

 

 

上司: 「その後、D社との打ち合わせは、うまくいっているのかな?」

部下: 「はい、まあまあ、順調です」

上司: 「『まあまあ』ということは、何か気になっていることでもあるのかい?」

部下: 「まあ、特に大きな問題ではないかもしれませんが・・・」

上司: 「でも、多少は気になっていることがあるんだね?・・・たとえば?」

部下: 「実は、D社の担当のH氏が他のプロジェクトにかかりっきりで、自分との打ち合わせの回数が減っているんです。彼も気にしているんですが、どうにもならず・・・」

上司: 「回数が減っている・・・ということは?」

部下: 「十分な話し合いが出来ない前に、商品発注を推測して行うことになります」

上司: 「推測か・・・そうすると?」

部下: 「見込み違いで在庫を抱えることになるかもしれません」

上司: 「それを防ぐにはどうしたら良いと思う?」

部下: 「まずは、H氏の代わりに窓口になっていただける方がいないか、聞くことが出来ると思います」

上司: 「・・・なるほど、そこから始めてみようか」

部下: 「もしも、それで改善されなければ、別のやり方も考えてみようと思います」

上司: 「そうしよう。では、まずできることから実行して、報告してもらえるかな?」

部下: 「わかりました。早速とりかかります」

 

 

 

さらに講師は、「この良い例と悪い例では、どこが違うのでしょうか?」と質問しました。 

 

赤木課長は

「こっちの良い例では、沈黙を織り交ぜながら、短い言葉で、相手の考えを促すように質問しています。それから『なるほど・・・』など、共感的で、部下が自由に考えることを受け入れる空気があります」

と発言しました。

 

確かにその通りでした。お互いが協力的で、会話の雰囲気が暖かく、部下がやる気を出しているのが分ります。

 

さらに講師の説明がありました。

 

「特に注目して欲しいのは、焦点をあてている部分です。悪い例は、上司が『順調』と言う部分を反復しているのに比較して、良い例は『まあまあ』と言う部分を反復し、『まあまあ』の持つ曖昧な部分を具体化するように質問しています。この部下としても『まあまあ』の部分にニュアンスを残した話し方をしていることから、できれば部下側から相談でもしたかったのではないかと覗えます」

 

高橋課長は、自分の部下との接し方をちょっと思い出しました。特に辞めていった佐藤さん、飯田さんのことは、気になっていました。飯田さんはうつになって、会社を辞めてしまいました。

 

 

高橋課長は、次にコーチングでモチベーションが上がることについて聞きました。

 

「仕事柄、経営幹部、人事部、特に教育担当の方を訪問します。そこでよくうかがうお話は、『モチベーションの低い社員が多い』ということです。

 

以前の職場では、モチベーションの上がらない部下を、上司が就業後に一杯誘い、一緒に飲み食いしながらいろいろな相談に乗ったこともありました。または、頭ごなしにやる気の無さを叱った上司もいたことでしょう。最近はどちらの部下育成の方法もあまり目にすることはなくなりました。そこで、新たに求められて登場したコミュニケーション方法のひとつがコーチングです。

 

例えば「モチベーションの低い社員が多い」と言った場合、モチベーションが低いことの原因が、社員本人だけにあるとは言い切れません。モチベーションの上がらない原因は様々です。上司は部下に対し、本人にモチベーションが上がらない原因に気づきを与えることで、本人に自発的行動を促します。前述のダイアログのように、コーチングによって本人の中にうまく行かない原因を見つけ出させ、解決の方法を自分で考えさせるのです。

 

また、ゴール・目標に気づかせることでもモチベーションを上げることも出来ます。GROWと呼ばれるモデルがあります。最初の頭文字のGがGOAL、目標を表わしており、『目標の明確化』を目的としたコーチングを行うと言う意味です。質問としては『このプロジェクトに対し、どのような目標をもって臨みますか?』『10年後、どうなっていたいですか』など『本人のゴール・目標を訊く』のです。本人のゴール・目標への気づきを得させることでモチベーションを高めるのです」

 

成果と目標を設定してマネージメントするのは成果主義そのものです。年2回の目標面談で、質問をするようにと指導書は与えられましたが、実務的な面談の技術として使ったことはありませんでした。

 

「さらにコーチングは、相手の行動を変化させることにも使うことが出来ます。これはある中堅企業の中途入社の営業マンにコーチングを行い、良い結果を出した例です。

 

他社から転職してきたある若い営業マンが、入社してからの3ヶ月間に、自分のPCを使って5回名刺のデザインを変えました。もちろん会社のロゴなどはそのままに、名前の位置などを微妙に変えた程度ではありました。しかし、名刺をいくら変えても売り上げにはつながりません。その後それを見かけた上司がコーチングを行い、本人に『あなたの営業の目的とは何ですか』と質問しました。その営業マンは『営業の目的は企業利益の追求である、と教えられました』と答えました。『他にはありませんか』と重ねて質問しましたが、7年間在職した会社の研修で教えられたことはそれだけだったのだそうです。そこで上司はその営業マンに『営業の目的はお客様満足の追求でもある』という、もう一方の大事なポイントを教えました。企業活動の基本である『お客様の満足』についての意味をよく教えた後に『あなたの名刺を作り変えることが、お客様満足の目的にかなうでしょうか』と質問した結果、名刺を作ることをやめ、目的にかなったほかの方法を考え、新たな行動を始めました」

 

 

高橋課長はこの方法で、部下のモチベーションを上げたり、行動を変えさせたりすることが出来るのならば、すぐにでも使ってみようと思いました。そしてどのようなスキルかをもっと具体的に学びたいと、講師の話に熱心に耳を傾けました。

 

「コーチングスキルの柱は2つあります。1つはコーチ(多くは上位者)が、憶測的な答えを持たず、相手に評価・判断をしないで、沈黙して本人の話を聴く、積極的傾聴です。傾聴している時は、うなずいても良いですが沈黙して下さい。もう1つは5W1Hを使って、いつ、どこで、誰が、何をなど曖昧なことを明確にする質問をし、本人に課題と答えを気づかせることです。その他のスキルには、『視点を変える』『旅に出す』『直感を使う』など100以上あると言われています。コーチングの現場では各スキルを混合した方法で、課題と答えを引き出す質問を行います」

 

さらに積極的傾聴と質問の技術についての詳しい説明と、ロールプレイングを行いました。

 

ロールプレイングは赤木課長とばかりではなく、他部署の課長とも傾聴と質問のコミュニケーションを何度か繰り返してみました。すると、なんとなくこれならできるような気がしてきました。特に高橋課長は「目標を訊く」という質問の方法が自分にぴったり合っていると思いました。コーチ役から、「あなたの目標は何ですか?」と聞かれるとワクワクしてきます。「たぶん誰でも自分の目標を尋ねられれば、楽しいに違いない」と思いました。

 

そのようにして1日目は、楽しくコーチングの勉強を終えることが出来ました。

 

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1日集中セミナーへご参加いただいた方の感想

荒井 かおり 様(仮名)
目から鱗が落ちるような新鮮な発見と驚きがたくさんありました。与えていただいた情報量が多すぎて頭の中で整理できていないので、今日いただいた資料やとったメモを折に触れて見返したいと思います。
8時間という長時間でしたが、時間の長さを全く感じることなく、最初から最後まで興味深くお話を伺うことができました。その人の表面に見えている態度・行動と、その深層にある心理の関係がわかり、これから自分自身や他人について、常にその背景を考えるようにしたいなと思いました。
自己診断で私はタイプ4だと思っていました。そして実際にタイプ4だとわかったのが良かったのか悪かったのか、少し複雑な気持ちです。
自分はどうしても他者を否定し、自分の中の世界だけで生きてしまう傾向があるので、これからは各タイプそれぞれの違いや良さを認められるように意識を改革していきたいと思っています。
お話を伺っていて「タイプ8とタイプ3が似ているな」とか、「1番を求めるならタイプ1も近いのかな」と思ったのですが、これは他者に対する意識や、他者との関係の違いや基準が、外にあるか内にあるかの違いなのでしょうか。
また自分の中にも複数の要素があると思ったので、家に帰ってまた学習したことを見直ししてみたいと思います。本日は貴重なお話をしていただき、ありがとうございました。

村上 恵美 様
「自己理解でハッピーになる1日集中セミナー」、ありがとうございました。
子どもや主人の事など相談させていただいて、どうすれば良いか具体的な方法を教えていただけて大変役に立ちました。
9タイプすべての言語をマスターするには、まだ時間がかかりそうですが、まずは自分と家族、身近にいる人たちのタイプを知って、学びを役立てていきたいと思います。
子育てしていく上で、エニアグラムコーチングを学べたことは、とても良かったと感じています。子どもそれぞれのタイプをいかしてかかわっていき、一緒に成長していきたいと思います。
私はタイプ1なので、エニアグラムを知らなければ、タイプ4の娘をつぶしてしまっていたかもしれないと思います。エニアグラムを学べたことに感謝致します。

山本 豊 様(仮名)
自己の分析を通して、今後の自分の成長に繋がるよう、課題や問題を克服していきたいと思いました。9つのタイプは大変理論的であること、生物学的にも説明がつくことを、改めて認識することができました。1日限りのセミナーでしたが、ここで得た知識に基づいて、今後にいかしていきたいと思います。


安藤 仁志 様 (男性)
非常によかった。経営に活かせる生(なま)の知識だと感じた。人を動かすための必須知識!

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